テレビでひっぱりだこの「知識人」はたくさんいますが、その一人にエール大学助教(asistant professor)の成田悠輔氏がいます。
(TVでは助教授として紹介されていますが、日本の助教授にあたる英語はassociate professor 准教授であり、asistant professor は「事務助手」をのぞいた「教員系の助手」にあたりますので、誤訳と言えます。しかし、実力はあるようなのでどちらであってもあまり問題はないと思われます。)
成田氏の話題になっている発言の一つに「高齢者は”集団自決”(あるいは切腹)をしたほうがよい」というのがあります。政治家やいろいろな組織のトップに70歳以上の人間が居座っており、それが日本の成長を阻害しいろいろ悪影響を与えているので、リーダとしての定年制を設けたほうがよいとの趣旨なので、もっともな指摘です。
しかし、表現の仕方があまり適切ではありませんでした。集団自決や切腹といえば、第二次世界大戦中における沖縄その他における「集団自決」や、敵に捕まって辱めを受けるよりは自決(自殺/切腹)せよとの「教え」があり、非常に多くの不幸をもたらしました。「集団自決」や「切腹」という言葉を聞けばまずそういった過去の悲惨な出来事が頭に浮かびますが、成田氏はそういったものよりも、三島由紀夫の切腹事件を思い出すようです。いずれにせよ、デリカシーのない言い方は、不快を与えるだけでなく、誤解して悪い影響を受ける人もけっこういそうです。
たとえば、思い出されるのは神奈川県立の知的障害者福祉施設「津久井やまゆり園」の元職員であった植松聖が、同施設に刃物を所持して侵入し入所者19人を刺殺するという悲惨な事件です。「社会に役に立たない人を殺害したほうが社会のためになる(そういった人間が多いと日本の成長を阻害する)」という思いを持ち、与党の保守的な政治家(当時の安倍総理その他)なら同じ考えを持つだろうという意識から、当時の衆議院議長に次の一文で始まる手紙を出しています。
http://e-kyodo.sakura.ne.jp/syokubasanka/190412yamayuri-9.pdf
衆議院議長大島理森様
「この手紙を手にとって頂き本当にありがとうございます。私は障害者総勢
470名を抹殺することができます。常軌を逸する発言であることは轟々理解し
ております。しかし、保護者の疲れきった表情、施設で働いている職員の生
気の欠けた瞳、日本国と世界の為と思い居ても立っても居られずに本日行動
に移した次第であります。理由は世界経済の活性化・・・
世界を担う大島理森様のお力で世界をより良い方向に進めて頂けないでし
ょうか。是非、安倍晋三様のお耳に伝えて頂ければと思います。・・・。」
植松被告は安倍総理の「”こんな人達”にはまけない!・・・」という発言にも共感をもっていました。たとえ曲解であったとしても、デリカシーのない言い方は悪い影響をいろいろ及ぼします。
成田氏の「集団自決」を勧める発言は、世界中のマスコミにとりあげられ、若者の一部からは強い支持の声があがりましたが、強い非難の声も多くあがりました。本人はそういった(年齢差別的な)意味で言ったのではない(受け取る方の理解の仕方の問題だ)という感覚は、政治家の失言に対する反省ない発言同様、余りよい感じがしないものです。
「高齢者は集団自決すべき」という発言については、本人も反省しているということなので、今後も是々非々で、フォローしていくつもりです。
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